lavamanのブログ

備忘録も兼ねて適当に

キーボードの話 その2

 Majestouchが不調になって代わりのキーボードを探し始めたとき第一の条件がUS配列なのは当然として、テンキーレスのものであることを第二の条件とした。テンキーは付いていれば大量の数字を入力するような時に使わないこともないのだが、普段はアルファベットキーの上にある数字キーで入力する事が殆どであったため、マウスの位置が遠くなるデメリットの方が大きいと感じていたためである。

 

 しかし、US配列でテンキーレスのキーボードを探すというのは想像以上に困難なものであった。そもそもUS配列のキーボードの選択肢が少ない上に、テンキーレスともなるとほぼ存在しないも同義であった。昨今ではそれまで使っていたMajestouchをはじめ、かの有名な東プレのRealforceにもUS配列テンキーレスがラインナップされているし、その他にもちらほらと見かける程度に種類は増えているのだが、自分が探していた当時はMajestouchは先述の通りキーボード本体の仕上げが好みではなくUS配列テンキーレスも発売されていたか記憶が定かではない。RealforceのUS配列テンキーレスモデルもまだ国内では流通していなかったように思う。後述するがキーボードを新調してしばらく経ったのちに発売されてRealforceも買おうか迷ったように記憶しているからだ。

 

 US配列でテンキーレスのキーボードを探して廻り少ないながらもいくつかは見つけることが出来たのだが、その大半が標準的な配列のフルキーボードからテンキーをそぎ落としたシンプルな配列のものではなく、テンキーをそぎ落とした上でエンターキーの右側にある各種キーを無理矢理エンターキー廻りに押し込んだ所謂変態配列と揶揄されるようなものばかりであった。あまりにも標準的なものが無さ過ぎるのか、情報収集をしている過程でフルキーボードから自力でテンキー部分を切断してシンプルな配列のテンキーレスキーボードを自作する兵を発見する程であった。

 

 至極当然のことではあるが、アメリカ等のサイトを見ると当たり前にシンプルなUS配列テンキーレスキーボードが販売されており、それらが購入できればと思っていたものであるが、当時は個人輸入に関する知識もなかったため踏ん切りが付かなかった。しかし、日本国内で気軽に購入できるわけではないだけでモノ自体は存在するならオークションで売られているのではないかと思い立ち、そちらで探してみたところ新品は見当たらなかったが、中古品でそれもかなりの古い機種のモノが売られているのを発見し決して安くはなかったのだが求めている条件に完璧に合致するモノを初めて見つけられた喜びも有り即座に落札した。それは当時の自分は知りもしなかったが、伝説の名機と謳われるIBMのMODEL Mシリーズの省スペースモデルSpace Saver 1393278 だったのである。

 

 Space Saverという名前のキーボードは、US配列テンキーレスキーボードを探し始めた当初に既に目にしていたのだが、そちらはSpace Saver Keyboard IIという当時の現行品で確かに割と綺麗な配列のものではあったのだが、PrintScreen、Scroll Rock、Pauseのキーがある位置にLEDが配置され、その分下側へキーがずらされているという惜しいながらも致命的な詰め込み方がなされていて選択肢から除外していた。しかしその祖先とも言うべきSpace Saver 1393278 は文字通りフルキーボードからテンキーをそぎ落としただけの完璧なUS配列テンキーレスキーボードであり、まさしく自分が求めていた理想のキーボードだったのである。

 

 第一にUS配列、第二にテンキーレスという条件でキーボードを探していたが、諦めていた第三の条件にメカニカルスイッチを採用したキーボードが望ましいというものがった。しかし、ただでさえ選択肢などないような状況でそこまで求める事も出来まいと条件から外して探していたのだ。そんな中で見つけたSpace Saver 1393278 は、厳密にはメカニカルスイッチとは違うがバックスプリングスイッチというIBM MODEL Mシリーズ独特の、押し込み感と反発感が強くジャキンジャキンと騒音を立てるような機構を採用していた。その感触は、何故か初めて購入したUS配列キーボードの感触を彷彿とさせるモノであった。あのキーボードはせいぜい2千円程度の安物キーボードであったし、絶対にバックスプリングスイッチなどではなかったはずなのだが、惚れ込んでいたあの感触を思い起こさせてくれるような理想のキーボードに出会ったような気持ちになったのである。

 

 Space Saver 1393278 を購入してからもう10年近く経つが、毎日かなりヘビーに利用しているにも関わらず全くへたることがない。本体裏面に1987年製と記されているため実に30年も前のキーボードなのだが、何の問題もなく動作していまうのである。古いキーボードであるためWinキーがないのが弱点と言えるかも知れないが、自分は元々Caps LockをCtrlに置き換えて左下のCtrlをWinキーに置き換えて使っていたのでなんら問題が無い。このキーボードにして以降、PC本体は数度置き換わっているが今のところキーボード自体を替える予定は無い。しかし、最近はレガシーポートであるPS/2ポートがそろそろ無くなるのではないかと戦々恐々としている。一応PS/2→USB変換器を噛ませば使えるとは思うが、相性問題等も起こりうるので出来ればPS/2ポートには末永く生き残って欲しいものである。